マップ

伝承館までの放射線量

原発事故後は、どんなことも、数値で知ることが大切です。ということで、伝承館への道のりの「放射線量はどのくらいなのか」を測定してきました(2021年2月20日)。この日は風が強く、工事中の土埃が舞い、空気が霞んで目にゴミが入るほどの日でした。

測定をして思ったことは「自転車の貸し出しをするのであれば、放射線量の測定値も伝えるべきでは」という感想です。「どうするか」は各自の判断にするとしても、知らされていないのは、あまりに不親切。除染をしたことで、比較的低くなった場所、除染してもなお高い場所、それぞれ知っているかどうかで自転車を「借りる・借りない」の判断も、「どのルートでいくか」の判断も変わるのではないでしょうか。

双葉駅周辺は、徹底して除染・舗装し直しがあったせいか、比較的低いのですが、歩き出すと、数値は変化していきます。腰の高さでは0・2〜0・4μSv/hでも、地表近くでは1μSv/hを超えたりします。

伝承館に向かい、6号線を超えてすぐ、双葉厚生病院があります。そこは、腰の高さでも0・8μSv/hから1μSv/hを超えます。地表近く、特に窪んだところでは、10μSv/h近くまでありました。「そこにずっといるわけではないから大丈夫」という人もいますが、それぞれで判断すべきことです。

一方、その先に続く舗装し直した道は、0・3〜0・6μSv/h。伝承館近くに至っては、0・05μSv/hまで下がります(伝承館のモニタリングポストも、その数値を示しています)。

念のため、伝承館内部でも測定していましたが、どこも0・05μSv/hほど。徹底した除染は、そこまで下げられることの証左でもあります。一方で、舗装をし直さない限り、除染しても放射線量は高いのだ、ということも示されていたと思います。

被ばくを避けたい人は、「ちょっと横道を入ってみよう」というのは、やめたほうが良い印象。数値はぐっと上がります。

こういった線量マップは、行政でもおそらく簡単に作れるはず。駅などで配られたら良いのかもしれません。

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吉田 千亜

出版社勤務を経てフリーへ。東日本大震災後、放射能汚染と向き合う母親たちの取材を続け、原発事故と母親を取材した季刊誌『ママレボ』、埼玉県に避難している人たちへの情報誌『福玉便り』などの編集・執筆。日隅一雄情報流通促進基金賞を受賞。『母子避難』(岩波書店)ほか

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